第81回アカデミー賞でショーン・ペンが主演男優賞受賞を、そして脚本賞を受賞した映画「ミルク」のDVDを購入しました。日本語字幕つき。映画にはない、関係者のインタビュー映像が良いです。お勧め。
出会いは「この人はどういう人?」 私にとってゲイは、HIV感染のリスク因子として見て、病気の面から接することが多いです。しかし当事者にとっては大切な生活そのものです。日本では個人のセクシャリティーとしてのみ捉えられ、あまり社会的な意味合いは与えられてきませんでした。
日本では考えられないことかもしれませんが、世界の多くの国で、同性愛行為(男同士の性行為)は法律で禁じられており、それだけで刑務所に入る理由になっています。アメリカでも当初そうで、そのために親子の縁切り、リンチなどが横行していました。
ミルクは同性愛を人権の問題と考え、黒人の人権運動と同様に政治的な解決を図ろうとして、ついに成功した人です。そしてそのために、反対派のダン・ホワイトによって射殺されました。そのことを予感して、日々テープに録音していました。ミルクはゲイの仲間に対して「コソコソするな。みんな納戸の中から出てこい・・・・Come out from the closet!」と一貫してアジテーションを行っていました。
映画はなるべく創作部分をなくし、場合によっては当事者が別の役柄で登場するなど、リアルさを目指しています。撮影の場所も、実際にカストロ通りとかサンフランシスコ市庁舎を使っています。メモリアルキルトを世界に広めたクリーブ・ジョーンズも出てきますが、彼は脚本の段階から参加し、映画の中では他の人の役で出演しています。
サンフランシスコという街は、アメリカの中でも最も自由で進歩的な地域で、多くのゲイたちが自由を求めて移住してくるそうです。成人男性の10人がゲイであるとも聞いたことがあります。
黒人の人種差別を発端とした公民権運動もそうでした。マーチン・ルーサー・キングも暗殺されました。あらためて彼らが狩猟民族で、命がけで力と力で対決してきた歴史を持っているのだと感じました。自分の権利は自分で守る。対立すれば闘う。もめ事を解決するために法律を作り、お互いの利害対立を契約によって解決しようとする社会です。このように全ての自由や権利の獲得は闘いとってきたものです。そこが日本との違いかもしれませんね。[NOBO]